注目の論文
物理学:ニュートリノが助ける量子重力効果の探索
Nature Physics
2022年10月25日
Physics: Neutrinos aid search for quantum gravity effects
時空の構造を、ニュートリノを用いて調べた結果について報告する論文が、Nature Physics に掲載される。IceCubeコラボレーションが今回明らかにした研究結果から、量子力学の原理を用いた重力の記述を目標とする量子重力理論に関する洞察が可能になるかもしれない。
ブレーザーなどの遠く離れた天体物理学的な源から放射されたニュートリノは、摂動をほぼ受けずに地球へ到達する。その旅の途上でニュートリノは、時空の構造が我々の理解から外れた領域を通るかもしれない。時空にそうした変化を生じさせると思われる原因の1つが量子重力で、ニュートリノの特性に跡を残す可能性がある。
今回IceCubeコラボレーションは、南極氷床の深部にある検出器で得られた天体物理学的ニュートリノを用いて、時空構造の変化を探った。7年以上かけて得られたデータが分析されたが、ニュートリノの特性に刻まれた時空構造の変化の形跡は見いだされなかった。今回の結果から、量子重力が役割を果たしていると予想される領域におけるそうした変化につながる可能性があるモデルに関する知見が得られる。
関連するNews & ViewsではG Gubitosiが、「IceCubeコラボレーションが達成した目覚ましい感度は、天体物理学的ニュートリノを用いた量子重力の現象論の進展における節目を印している」と結論付けている。
doi: 10.1038/s41567-022-01762-1
注目の論文
-
11月21日
天文学:近くの恒星を周回する若いトランジット惑星が発見されるNature
-
11月18日
惑星科学:嫦娥6号のサンプルが月の裏側の火山活動の年代を特定Nature
-
11月14日
物理学:スマートフォンによる電離層の変化のマッピングNature
-
11月13日
地球科学:2022年のマウナロア火山の噴火を調査するNature Communications
-
11月12日
惑星科学:ボイジャー2号が天王星をフライバイしたのは太陽の異常現象の最中だったNature Astronomy
-
11月8日
惑星科学:火星の岩石堆積物は太古の海の名残かもしれないScientific Reports