注目の論文

天文学:捉えにくいブラックホールの証拠

Nature

2024年7月11日

Astronomy: Evidence for an elusive black hole

天の川銀河内にあるオメガ・ケンタウリ(ωケンタウリ)星団で高速で運動する星々が観測された。これらの星々が、中質量ブラックホールの存在を示す証拠であることを報告する論文が、今週のNatureに掲載される。この結論は、20年以上にわたるハッブル宇宙望遠鏡の観測に基づくもので、今後、この捉えにくいクラスのブラックホールを探す助けになるかもしれない。

ブラックホールは、太陽質量の約5150倍の恒星質量のブラックホールから、銀河の中心に存在する超巨大ブラックホール(太陽質量の100,000倍以上、105 M⊙)まで、幅広い質量のものが見つかっている。しかし、太陽の150から100,000倍の質量を持つ中質量ブラックホールは、まだ数個しか発見されていない。

オメガ・ケンタウリは、その質量の大きさや複雑な恒星集団などの性質から、中質量ブラックホールを探すための有望なターゲットである。しかし、この領域にブラックホールが存在するというこれまでの主張は批判にさらされてきた。Maximilian Häberleらは、ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した20年分の画像を用いて、星団の中心付近の星の運動をモニターした。その結果、7つの星が中心付近で非常に速く運動していることがわかり、これはωケンタウリの中心に中質量ブラックホールが存在する可能性を示している。彼らは、ブラックホールの質量の下限を約8,200 M⊙と推測している。

今回の論文とともに掲載されるNews & Viewsの記事で、Daryl HaggardAdrienne Coolは、「これらの新しく発見された星は、ωケンタウリに中質量ブラックホールが存在することを示す、これまでで最高の証拠である」と述べている。この結果は、他の球状星団で中質量ブラックホールを探すことの妥当性を示唆している。

Häberle, M., Neumayer, N., Seth, A. et al. Fast-moving stars around an intermediate-mass black hole in ω Centauri. Nature 631, 285–288 (2024).

doi: 10.1038/s41586-024-07511-z

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