量子コンピューティング:量子回路の複雑性を探る
Nature
2024年10月10日
Quantum computing: Probing the complexity of quantum circuits
現在のスーパーコンピューターでは再現できない計算タスクを実行できる量子プロセッサーのデモンストレーションを報告する論文が、Natureに掲載される。この実験は、量子プロセッサーがバックグラウンドノイズ(量子コンピューターの計算の正確性に影響を与える可能性のある妨害)による干渉にもかかわらず、複雑な計算を実行できる可能性についてより深く研究する一環である。
量子プロセッサーは、ノイズ(温度や磁場、あるいは宇宙からの放射線などの環境による妨害)に敏感であり、従来のスーパーコンピューターでは達成不可能な複雑なタスクのパフォーマンスを妨げる可能性がある。しかし、ノイズが量子回路のパフォーマンスにどのような影響を与えるかを正確に調査することは困難であった。
Alexis Morvanらは、量子プロセッサーが複雑なコンピューティング出力の領域に到達する経路を調査している。著者らは、ランダム回路サンプリングと呼ばれる方法を使用して、超伝導量子ビット(量子コンピューターの構成要素)の2Dグリッドの忠実度をテストしている。ランダム回路サンプリングは、従来のスーパーコンピューターと比較した量子コンピューターの性能を評価するためのベンチマークである。これらの実験により、2つのフェーズ間の移行が明らかになった。2番目の、いわゆる「低ノイズフェーズ」では、量子コンピューターが従来の比較よりも優れた性能を発揮できるほど、計算が十分に複雑であることが証明された。さらに、67量子ビットのSycamoreチップで従来の性能を超える性能が実証された。
この発見は、量子コンピューターの能力に対する理解を深めるものである。
Morvan, A., Villalonga, B., Mi, X. et al. Phase transitions in random circuit sampling. Nature 634, 328–333 (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-07998-6
doi: 10.1038/s41586-024-07998-6
注目の論文
-
3月4日
天文学:宇宙における水の初期の証拠Nature Astronomy
-
2月28日
考古学:ベスビオ火山の火山灰雲が脳をガラスに変えたScientific Reports
-
2月27日
量子コンピューティング:キャット・コードが量子エラーを訂正し、オーバーヘッドを削減するNature
-
2月27日
気候変動:AMOC(大西洋子午面循環)は将来の温暖化に耐えられるかもしれないNature
-
2月26日
惑星科学:火星に固体の内核が存在する可能性Nature Communications
-
2月20日
コンピューターサイエンス:AIツールが創造的なビデオゲーム開発を支援Nature