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天文学:宇宙における水の初期の証拠

Nature Astronomy

2025年3月4日

Astronomy: Early evidence for water in the Universe

Nature Astronomy

水は、ビッグバンから1億-2億年後に初めて形成された可能性を示すモデリング研究を報告する論文が、Nature Astronomy に掲載される。著者らは、水の形成はこれまでの考えよりも早く宇宙で起こった可能性があり、最初の銀河の主要構成要素であったかもしれないと示唆している。

水は、私たちの知る生命にとって不可欠であり、その成分である水素と酸素はそれぞれ異なる方法で形成されたことが知られている。水素、ヘリウム、およびリチウムなどの軽い化学元素はビッグバンで形成されたが、酸素などの重い元素は星内での核反応や超新星爆発(supernovae explosions)の結果として生成された。そのため、宇宙で水がいつ形成されたのかは不明である。

Daniel Whalenらは、太陽の13倍の質量の星が起こした最初の超新星と、太陽の200倍の質量の星が起こした2番目の超新星の2つのコンピューターモデルを活用し、これらの爆発の生成物を分析した。著者らは、最初のシミュレーションでは0.051太陽質量、2番目のシミュレーションでは55太陽質量(1太陽質量は太陽の質量)の酸素が生成されたことを発見した。これは、非常に高い温度と密度に達したためである。Whalenらは、このガス状の酸素が冷却し、超新星から残された周囲の水素と混ざり合うことで、残った高密度の物質の塊に水が形成されることを発見した。これらの塊は、第二世代の星や惑星が形成される場所となった可能性が高い。最初のシミュレーションでは、超新星から3,000万年から9,000万年後には、水の質量が太陽質量の1億分の1から100万分の1に相当する量に達することが分かった。2番目のシミュレーションでは、300万年後に水の量が太陽質量の約0.001に達した。

著者らは、最初の銀河の形成という破壊的なプロセスを水が生き延びることができたのであれば、数十億年前に惑星の形成に取り込まれた可能性があると示唆している。

Whalen, D.J., Latif, M.A. & Jessop, C. Abundant water from primordial supernovae at cosmic dawn. Nat Astron (2025). https://doi.org/10.1038/s41550-025-02479-w
 

doi: 10.1038/s41550-025-02479-w

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