注目の論文

量子もつれが通信容量を増やす

Nature Physics

2009年3月16日

Quantum entanglement could boost communication capacity

量子力学の法則が古典的な情報つまり2値情報をより効率的に送るのに役立つ可能性があることが、Nature Physics(電子版)の論文で示唆されている。この発見によって、量子情報理論の分野における最も重要な未解決問題の1つと考えられている難問の答えが得られる。この難問とは、量子力学の効果を古典的な「情報ビット」を送るのに利用できるかというものである。

近年、最小の長さスケールにおける素粒子のふるまいを支配する量子力学的効果を、通信や計算を目的として利用することを目指した研究活動が盛んに行われている。これに利用されている基本的な性質は量子もつれとして知られているが、量子通信チャネルを通して古典的な情報を効率的に送るのに役立つか否かはよくわかっていない。いくつかの推測では、量子もつれはそのような状況では役に立たないとされている。

今回M Hastingsは、基本的なレベルでこれらの推測が誤りであることを示した。今回の発見の実用的な意義については今後の課題だが、量子情報チャネルの容量を計算する方法と直接的な関連があり、したがって、量子効果を利用できる可能性がある通信タスクを予測することと直接関係している。

doi: 10.1038/nphys1224

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