注目の論文
極小の文字を読む
Nature Nanotechnology
2009年1月26日
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科学者らは、分子ホログラムと電子波を利用して表面上に「書き込む」方法を考案した。その方法が、Nature Nanotechnology(電子版)に掲載される。
ナノテクノロジー分野の多くの実験では、走査トンネル顕微鏡(STM)とよばれる装置を使って1個1個の原子や分子が表面上に配置される。実際、STMの効力が実証されたのは、周知のとおり、1990年に2人の科学者が35個のキセノン原子でニッケル表面上に「IBM」の文字を書いたときである。そのような原子や分子が互いに反応しないよう十分な間隔を維持する必要があるため、表面に書き込みできる情報の量は限られていると考えられていた。
H Manoharanらは、単一分子で直接書き込むためではなく、ホログラムを形成するよう単一分子を表面に配置するためにSTMを利用することにより、この限界を超えられることを示している。従来のホログラムは光波を利用して眼で見える3次元像を記録・投影する。 これに対して、分子ホログラムは、電子波動関数を利用して2つの空間次元と1つのエネルギー次元にSTMで「読む」ことのできる像をつくる。このホログラムを利用して、科学者らは、約0.3ナノメートルという極小フィーチャーをもつ物体を形成・検出できた。これにより、金属原子で直接表面上に書かれた最小文字よりもさらに小さい文字(半分の面積)を書くことが可能となった。
doi: 10.1038/nnano.2008.415
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