土星の羊飼い衛星の起源
Nature Geoscience
2015年8月18日
土星の細いFリングとその二つの小さい月であるプロメテウスとパンドラは、惑星の主要な環の外縁における衝突の産物の可能性があるという報告が、今週のオンライン版に掲載される。この発見は、一見して異常なFリングの配置とその2つの忠実な「羊飼い衛星」は、巨大惑星の周りで進化する環の自然な帰結の可能性があることを示唆している。
土星の主要な環は進化しており、氷粒子は凝集して小衛星を形成し、最終的に外側に移動して衝突により互いに結合し土星の主要な月を形成する。主要な環の外側にある土星のF環は、このような壊れやすい小衛星の2つが衝突してできた氷の残骸と考えられてきた。F環の氷粒子の集団は、プロメテウスとパンドラの側面の片側で輪郭のはっきりとした狭い領域に閉じ込められているが、このような羊飼い衛星がどうしてできたかはよく分かっていない。
兵頭龍樹(ひょうどう・りゅうき)と大槻圭史(おおつき・けいじ)は、土星の主要な環の外縁における条件で氷の小衛星間の衝突をシミュレーションした。彼らは、もし小衛星が完全に小さな氷粒子でできているならば、衝突により完全にばらばらになって環のみが残ることを見つけた。しかしながら、もし小衛星が密度の高い核を持つならば、一部しか崩壊せず環と2つの残存した月を形成して、F環の観測と一致することが分かった。
関連するNews&Views記事でAurelien Cridaは、同様な過程が、「多数の細い環の少なくとも1つが羊飼い衛星をもつ天王星のシステムと、環の拡大による巨大惑星の衛星形成をより一般的に」説明できる可能性があると記している。
doi:10.1038/ngeo2508
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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