Research Press Release

目に見えない「第二の皮膚」が外観の若返りに役立つ

Nature Materials

2016年5月10日

若くて健康な肌の美的特性と機能的特性を取り戻すことができる新しいウエアラブルポリマー材料についての報告が、今週のオンライン版に掲載される。この生体模倣ポリマー膜は、目立たず、弾力性と耐久性と保湿性を備えており、皮膚に適用したときの付着性が良好で、皮膚を補強してしわや目の下のたるみを抑制できることが今回の研究で示されている。

最も大きく最も目につく器官である皮膚は、その特性が時間と共に変化する。また、特定の病気や環境要因の影響を受けて変化することもある。こうした変化によって外観が変わるばかりでなく、正常な皮膚機能が損なわれる可能性もあり、いずれの場合も個人の幸福や健康状態に大きな影響を及ぼす。皮膚の機械的機能や生理学的機能(例えば皮膚のバリア機能)を回復する処置も利用できるが、既存の処置では両方の機能を同時に回復することができない。

今回Robert Langerたちは、新しいシリコン系材料を2段階からなる局所適用手順で皮膚上に広げると、皮膚を物理的に補強するとともに通気性とバリア機能を有するウエアラブルポリマー層が形成されることを示している。また、一連の小規模な概念実証試験においてこの材料を使った処置を行い、重度の乾皮症の患者の皮膚機能が向上し、正常な皮膚の美観が回復し、しわや目の下のたるみなどの老化に関連する構造変化が抑制されることを示している。この「第二の皮膚」技術は、皮膚の外観と機能を自然に戻す一方で、損なわれた皮膚バリア機能の回復、医薬送達、創傷被覆のための手段をもたらす可能性があるとLangerたちは結論付けている。

doi:10.1038/nmat4635

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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