【遺伝】グリーンランドの古代人はクジラを食事にしていた
Nature Communications
2016年11月9日
クジラとその他の大型哺乳類は、先史時代のグリーンランド人の食事として、これまで考えられていた以上に重要な役割を果たしていたことを明らかにした論文が、今週掲載される。
ヒトは、過去4,500年の間に何度もグリーンランドに移動しており、その文化に関する知識は、保存された化石の考古学的分析という従来の方法に主として基づいている。今回、Frederik Seersholmの研究グループは、最も古いもので紀元前2,000年の考古学的堆積物から抽出されたDNAの解析によって、この化石記録の欠落部分を明らかにした。特に、こうした堆積物からシロイルカの化石が発見されることはまれだが、約4,000年前のグリーンランド人の生存にとって、ホッキョククジラとその他の大型動物(トナカイ、セイウチなど)が重要だったことがDNA証拠によって示唆されている。調査対象となった遺跡でクジラの骨が見つからなかったが、Seersholmたちは、当時のヒトが、住居とは別の場所で発見し、あるいは狩猟したクジラの死骸からクジラの肉、皮膚、脂肪を集めていたという考えを示している。
クジラの利用と狩猟を初めて大々的に行ったのは、紀元1200~1400年にグリーンランドに移動したトゥーレ文化のイヌイットだと考えられているが、その主な根拠は、それより古い時代のものとされる捕鯨に適した武器を示す証拠が見つかっていないことだ。しかし、その当時のクジラは豊富な海洋資源で、広く利用されていたと考えられ、他の初期文化のイヌイットにも普及していた可能性がある。
doi:10.1038/ncomms13389
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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