Research Press Release
糖尿病治療用の非抗原性ステルス薬
Nature Biomedical Engineering
2016年11月29日
マウスで2型糖尿病薬の治療効果の持続時間を延長させるとともに、重要なこととして、患者がすでに有している抗体と関係する薬物へのありがちな有害作用を排除する方法が、今週掲載される。
薬物と免疫系との相互作用は、ポリエチレングリコール(柔軟な鎖のような分子で、PEGとしても知られる)などの不活性な生体適合性ポリマーで薬物を修飾することによって軽減される場合がある。しかし、広く使用されている消費財に含まれるPEGへの長期暴露は、免疫系に抗PEG抗体を生成させるため、PEG修飾薬の臨床的有効性が低下し、有害反応のリスクが増大することにつながる。
Ashutosh Chilkotiたちは、2型糖尿病の治療に用いられる薬物(エキセンディン-4)に、エチレングリコールの短いセグメントを有するポリマー(それによって柔軟な桿状の分子ブラシのような姿をしている)を付加させると、患者由来の抗PEG抗体に対する修飾薬の反応性が消失することを明らかにした。このポリマー修飾薬はエキセンディン-4の血中循環時間を延長させ、単回注射によるマウスの正常血糖値持続時間が、薬物単体ではわずか6時間であったのに対し、最長5日間(120時間)に達することも分かった。著者たちは、その薬物修飾法が治療薬の安全性および有効性を向上させるための次世代技術となることを示唆している。
doi:10.1038/s41551-016-0002
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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