Research Press Release
【気候変動】早くから始まっていた北半球の温暖化
Nature
2016年8月25日
北半球の陸域と熱帯海洋の温暖化は19世紀中頃から始まっており、20世紀に起こった広範囲に及ぶ気候温暖化より早かったという新知見を報告する論文が、今週掲載される。
過去2000年間の気候記録は、北半球を中心としており、海洋の記録ではなく、陸上の記録によるデータが主に用いられていた。ところが、陸上の記録では、気候変動のペースが決まる際の海洋の重要性とその地域的影響が分からなかった。
今回、Nerilie Abramたちは、西暦1500年以降の陸域と海洋の気候記録を用いて、20世紀に観測された広範囲に及ぶ気候温暖化が1830年頃に北半球の熱帯海洋と一部の陸域で始まった持続的傾向の一環であることを明らかにした。Abramたちの気候再構築によれば、南半球での温暖化は、北半球での温暖化から約50年遅れて発生したことが示唆されているが、この遅れは、現行の気候シミュレーションには反映されていない。
この新知見は、人間活動による気候変動の総合的評価に20世紀以前の情報を組み込む必要性を指し示している。
doi:10.1038/nature19082
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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