Research Press Release
悪性細胞にキラーキャリア
Nature Materials
2011年4月18日
ヒト肝がん細胞を特異的に標的化する高容量薬物送達ナノキャリアが、Nature Materials(電子版)に報告されている。この高効率ナノキャリアを用いれば、従来の化学療法の有効性が大幅に向上し、副作用が減少する可能性がある。
C Ashley、C J Brinkerおよび共同研究者らによって作製されたナノキャリアは、脂質膜に包まれた多孔質シリカナノ粒子であり、脂質膜は標的ペプチド、融合ペプチドおよび高分子ポリエチレングリコールで機能化されている。研究チームは、ポチエチレングリコールによってキャリアの安定性が増大し、ペプチドによってナノ粒子と悪性細胞との結合親和性が高まることを報告している。また、ペプチドのおかげでナノ粒子ががん細胞に取り込まれやすくなるため、細胞質ゾルでのカーゴ放出が可能になる。リポソームと比較すると、今回のハイブリッドナノキャリアは、容量、選択性、安定性の点で優れている。「このナノキャリアは非常に強力なので、1個のモデル肝がん細胞を殺すのに、平均して1個の粒子があれば十分である」とD Irvineが関連News & Viewsで述べている。
doi:10.1038/nmat2992
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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