Research Press Release
【物理】ワイヤレス給電の開発研究の進展
Nature
2017年6月15日
電源から遠ざかるLED電球にも電気を流し続けることのできるワイヤレス給電系について報告する論文が、今週掲載される。
ワイヤレス給電の開発研究には数々の進展が見られ、埋め込み型医療機器への電力供給、停止状態の電気自動車のワイヤレス充電といった応用への道が開かれた。しかし、動作条件(例えば、ワイヤレスで電力供給を受けるデバイスと電源との距離)が変わっても効率的な給電を維持できるロバストなシステムを作ることは難題だった。
今回、Shanhui Fanたちの研究グループは、こうした電源との距離が変化しても高い給電効率を実現するワイヤレス給電系を作り出した。Fanたちは、量子物理学の概念であるパリティ-時間対称性の原理を用いて電気回路を作製し、電源との距離が約1メートルの範囲内で変化しても一定の給電効率を確保できることを実証した。また、FanたちはLED電球を電源から遠ざける実験を行い、電源との距離が約1メートルに達するまでLED電球に電気を流し続けることができ、一定の輝度が得られることも実証した。
Fanたちは、こうした新知見を応用して、電力を伝送する距離と方向が絶えず変化する移動中のデバイスや車両にも電気を送れるようになる可能性があると考えている。
doi:10.1038/nature22404
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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