Research Press Release
【天体物理学】「くらげ」銀河の超大質量ブラックホールにガスが供給される仕組み
Nature
2017年8月17日
「くらげ」銀河の超大質量ブラックホールにガスが供給される仕組みに関する仮説を示した論文が、今週掲載される。
ほとんど全ての銀河の中心部分には超大質量ブラックホールがあると考えられているが、物質の降着によって高エネルギーの活動銀河核(AGN)が形成されているものは非常に少ない。くらげ銀河は、長いガスの「触手」と新しく生まれた星によってくらげに似た外観を呈していることを特徴としている。こうした特徴は、銀河団内物質(銀河団内の銀河間に存在するガス)中での銀河の運動によってガスが流出していること(ラム圧による剥ぎ取り現象というプロセス)を示すものと考えられている。
今回、Bianca Poggiantiたちの研究グループは、7つのくらげ銀河を観測し、そのうちの6つの銀河内にAGNが存在していることを報告している。Poggiantiたちは、これらの銀河からガスが剥ぎ取られている原因となっているラム圧が、銀河の中心部分にある超大質量ブラックホールに向けてガスを誘導してAGNの活動も引き起こしている可能性があるという仮説を示している。
doi:10.1038/nature23462
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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