Research Press Release
CRISPR装置のウイルスによらない効率的な送達
Nature Biomedical Engineering
2017年10月3日
ウイルスではなくナノ粒子を用いるCRISPRゲノム編集分子の送達法についての報告が、今週掲載される。この非ウイルス的方法は、マウスでデュシェンヌ型筋ジストロフィーを引き起こす遺伝的変異を効率的に修正することも示されている。
CRISPR法の医療応用面での可能性は、DNA切断酵素Cas9、修正対象の遺伝子を狙うガイドRNA、およびゲノムへ挿入するDNAドナーというDNA編集の3要素の特定標的細胞への効率的送達にかかっている。そうした分子の運搬にウイルスを用いることもできるが、ウイルスは安全性の懸念がぬぐえず、運搬可能な量が限られるとともに、CRISPR要素の編集効率が低下する場合がある。
Niren Murthyたちは、CRISPR要素を1つ1つの金ナノ粒子の周囲にまとめて保護ポリマーで覆うことができること、そしてそのナノ粒子がCRISPR要素をさまざまな種類の細胞へ効率的に送達することを明らかにした。また、相同組換え修復(DNA切断酵素Cas9が生じた二本鎖DNA切断を修復する最も正確な機構)によって遺伝子編集が行われること、そしてデュシェンヌ型筋ジストロフィー治療を行うマウスの筋組織のオフターゲット編集レベルが最小限であったことも示している。
doi:10.1038/s41551-017-0137-2
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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