【動物学】花の青い光冠に引き寄せられるハチ
Nature
2017年10月19日
ハチ類とその他の花粉媒介生物が容易に花を見つけられるのは、花弁上のさまざまなナノスケールのパターンによって発生する青い光冠のためであることを明らかにした論文が、今週掲載される。この視覚信号は現生被子植物の大部分の分類群に存在するが、系統ごとに独自に進化したと考えられることも今回の研究で明らかになった。
一部の花は、花弁に線条が入っており、これによって光が散乱して構造色が生じ、花粉媒介生物が感知できる信号が生じる。このナノスケールの線条は、秩序にある程度の乱れがあり、一輪の花の線条パターンは大きさと間隔が多様化している。今回、Beverley Gloverたちの研究グループは、いろいろな種類の被子植物について、こうした線条を分析し、このナノスケール構造のバリエーションにもかかわらず、全ての線条における秩序の乱れの程度が類似していることを明らかにした。このように秩序の乱れた構造に太陽光が当たると、基調的な色素色が何であっても、紫外光から青色光の光冠が生じる。
ハチ類は、青色に引き寄せられることがすでに明らかになっているが、青い光冠がハチ類を引き寄せる視覚的特徴なのかどうかを判定するため、Gloverたちは、天然の花に見られるナノスケールの表面パターンのある造花とない造花を作った。次いでマルハナバチの行動実験が行われ、マルハナバチは、青い光冠を生じない造花よりも青い光冠を生じる造花の方を早く見つけられることが実証された。Gloverたちは、花におけるナノ構造のバリエーションは独自に進化したが、全ての花が、花粉媒介生物の目を引くような際立った視覚信号を発するようになった、と結論付けている。
doi:10.1038/nature24285
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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