Research Press Release
過酸化水素は幹細胞に有益である
Nature Chemical Biology
2010年12月27日
活性酸素種(ROS)は一般に、発作や脳卒中、神経変性などの病態と関係している。Nature Chemical Biologyで発表される研究では、成体の脳の海馬の幹細胞でROS産生の利点が発見された。
C Changたちは、新しい蛍光指示物質を利用して、過酸化水素(H2O2)というROSがNox2という酵素の作用によって脳の幹細胞で生成することを明らかにした。このH2O2は、正常な細胞の増殖の促進に関与するAktというシグナル伝達タンパク質を調節する。
ROSを生成するこのNox酵素をもたない人は、ROSが有害であると仮定した場合に考えられるような認知障害を示す。この研究成果は、大量の脳中ROSが例外なく有害であるという見方に異を唱えている。
doi:10.1038/nchembio.497
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
天文学:タイタンの海を調査するNature Communications
-
惑星科学:月の地下に探索できそうな洞窟の通路を発見Nature Astronomy
-
天文学:捉えにくいブラックホールの証拠Nature
-
古代ゲノミクス:疫病に襲われた新石器時代の農民たちNature
-
バイオテクノロジー: 培養肉の風味を改善するNature Communications
-
微生物学:自閉症スペクトラム障害は子どもの腸内細菌叢の変化と関連するNature Microbiology