【教育】STEM科目の成績における性差は比較的小さい
Nature Communications
2018年9月26日
科学・技術・工学・数学(STEM)科目とそれ以外の科目を比較すると、成績の評点の平均と分散のいずれも、男子学生と女子学生の差は、STEM科目の方がそれ以外の科目より小さいことを報告する論文が、今週掲載される。著者たちは、STEMにおいて男子学生の占める割合が大きいことを説明する上で、男子学生にの評点の分散が大きいことを示すだけでは不十分だと示唆している。
学校でのSTEM科目の成績では、女子が男子を常にリードしているにもかかわらず、STEMのキャリアを目指すのは、女子学生より男子学生の方が多い。この現象を説明する1つの学説は、学術研究能力のばらつきが女子よりも男子の方が大きいことを挙げる。この「ばらつき仮説」によれば、成績の平均では、女子学生が男子学生を上回っているが、STEM科目の成績は男子の方が女子よりも優れており、こうした成績優秀者がSTEMのキャリアを選ぶ可能性が高いとされる。
今回、Rose O’Deaたちの研究グループは、160万人以上の学生の教師による学業成績の評点に関する227件の研究の結果を総合し、男女学生の学業成績を比較した。その結果、評点の分散の男女差は、STEM科目の方がそれ以外の科目(例えば、英語と歴史)よりも小さいことが判明した。この男女差のシミュレーションからは、クラスのトップ10に占める男女の数はSTEM科目では同数なのに対して、STEM以外の科目では女子の方が多かった。O’Deaたちは、男子の方が評点のばらつきが大きいが、これだけでSTEMのキャリアを選ぶ男子学生が女子学生より特異的に多い理由を説明できないと主張している。
doi:10.1038/s41467-018-06292-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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