Research Press Release
【がん】妊娠期間と乳がんリスクの関連を調べる
Nature Communications
2018年10月24日
34週以上の妊娠経験が乳がんリスクの低下と関連していることを明らかにした観察研究について報告する論文が、今週掲載される。
妊娠回数と妊娠期間は乳がんリスクの差異に関連しており、特に若齢(30歳未満)での満期妊娠の経験や出産回数の多さが乳がんリスクの低さと関連していると報告されているが、これらの要因が乳がんの発生にどのような影響を及ぼすのかについては、まだ明らかにされていない。
今回、Mads Melbyeたちの研究グループは、出産とがんに関するデンマークの全国レジストリを用いて、230万人の女性からなるコホートを確立し、妊娠期間と乳がんの長期的リスクの関連を評価した。その結果、乳がんリスクの低さは34週以上にわたる妊娠期間と関連している一方、33週未満の妊娠期間では乳がんリスクは低くならないことが分かった。また、他の要因(出産回数や社会経済的状況など)では、乳がんリスクの低さとの関連を説明できなかった。さらに、この解析結果は、同様のノルウェー人女性160万人のコホートでも再現された。Melbyeたちは、妊娠34週頃に何らかの生物学的作用が明確に働いている可能性があり、今回の知見によって、こうした効果の背後にある原因因子を研究できるようになると考えている。
doi:10.1038/s41467-018-06748-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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