【電気工学】デジタルカメラ写真を使って隠れた物体を可視化する
Nature
2019年1月24日
通常のデジタルカメラを使って、視線方向にない物体を可視化する方法について報告する論文が、今週掲載される。こうしたことはこれまでは高価な特殊光学系でなければ実現できなかったが、この論文には、より低コストで単純な方法が報告されており、隠れた物体の可視化に大きな進歩がもたらされた。
非視線方向イメージング法は、物体の表面で反射した光を分析して、視線方向にない物体の画像をコンピューターによって再構成する方法だ。この反射現象は、一般的なペリスコープに用いられる反射鏡に似た役割を果たしている。ただし従来技術には、高コストのパルスレーザーと非常に高速な光検出器が必要だった。
今回Vivek Goyalたちは、コンピューターにより制御された通常のデジタルカメラを用いて、コンピューターによるペリスコープ法を実証した。今回の研究では、カメラの視線方向から外れた位置に配置した液晶画面上に画像を表示し、この画像を不透明な遮蔽物体によって部分的に覆い隠した。液晶画面からの光によって、反射壁面上には遮蔽物体の半影が生じた。この反射壁面からの光の分布(液晶画面が発する光と遮蔽物体の半影からなる)のスナップショットを、デジタルカメラで撮影した。次に、このスナップショットをコンピューターアルゴリズムによって再構成し、カメラの視線方向から外れた位置に表示された液晶画像の2次元カラー画像を生成した。Goyalたちは、漫画中の顔、文字、縞模様などの再構成画像を提示しており、これらの画像では、大きな特徴(白と赤の斑点など)は明瞭に表示されるのに対し、小さな特徴(目など)は表示されるものの再構成精度が低かった。
今回の知見は、デジタルカメラを用いた非視線方向イメージングの実現可能性を実証しており、危険な環境のモニタリングやナビゲーション、隠れている敵の発見などに応用できる可能性がある。
doi:10.1038/s41586-018-0868-6
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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