【工学】人工の「血液」で動くロボット魚
Nature
2019年6月20日
作動流体が循環する人工循環系を使ってミノカサゴ型ソフトロボットを機械的に駆動し、電源を供給できることを実証した論文が、今週掲載される。このロボットは、この人工循環系を検証する実験で、流れに逆らって泳ぎ、胸びれをひらひらと動かすことができた。この新知見は、将来のロボット設計において、エネルギー貯蔵、効率、自律性の向上につながる可能性がある。
ロボットは通常、特定の作業に必要な独立したシステムが組み合わされて構成されている。例えば、ある材料は電池としてのみ機能するが、このため、システムをスケールアップするには追加の電池パックが必要で、これがシステムの重量を増加させ、ロボットの性能を維持するためには改良が必要となる場合がある。この問題を解決する1つの方法は、複数の機能を果たす電池を使用することだ。
今回、Robert Shepherdたちの研究グループは、ロボットに使用した作動流体が、力を伝達するだけでなく、エネルギーの貯蔵にも使える可能性があることを見いだした。Shepherdたちは、液体電解質が充填されたヨウ化亜鉛フロー電池を相互に接続して人工血管系を作製し、ミノカサゴから着想したロボット魚に埋め込んだ。この液体は、このロボットの体内を循環し、電気化学反応によって、ロボットに搭載されたポンプや電子機器に電力を供給する。同時に、液体の循環によって、機械的作用をひれに伝達し、ロボットが水中を泳ぐことを可能にした。検証実験で、このロボットは、長時間(理論上の最大動作時間は36時間以上)にわたって毎分体長の1.5倍のスピードで流れに逆らって泳ぐことができた。
doi:10.1038/s41586-019-1313-1
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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