Research Press Release
一流の運動選手の成績と腸マイクロバイオームとの結び付き
Nature Medicine
2019年6月25日
一流ランナーの腸マイクロバイオーム中に存在する特定の細菌が、選手の運動能力の向上に役立っている可能性が出てきた。
ヒトのマイクロバイオーム、つまりヒト体内に住む微生物群がヒトの健康に影響することはすでに知られている。また以前の研究で、マイクロバイオームの変化と運動との間に関連があることが明らかになっているが、マイクロバイオームの変化が運動能力に及ぼす影響については分かっていなかった。
A Kosticたちは、ボストンマラソンを走った15人のランナーと、ランナーでない10人(対照となる)から、マラソンの前と後の各1週間にわたって糞便試料を採取して解析を行った。運動後の選手の糞便中ではヴェイオネラ(Veillonella)属類縁種の細菌が増えていること、またこれらの菌は運動後の疲労に関連する代謝産物である乳酸の消費に必要な遺伝子すべてを備えていることが明らかになった。この結果は、87人の運動選手からなるこれとは別のコホートでも確かめられた。もう1つの実験では、マラソン選手の1人から単離されたヴェイオネラ属の細菌1種が16匹のマウスに投与され、投与を受けたマウスは、対照群のマウスに比べて、トレッドミルテストの成績が13%上昇した。
doi:10.1038/s41591-019-0485-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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