【惑星科学】太陽系外からやって来た新しい彗星
Nature Astronomy
2019年10月15日
新しい恒星間彗星の特徴を明らかにした論文が今週掲載される。2I/ボリソフと名付けられたこの彗星は、太陽系外から到来したが、その色や形状は太陽系内の他の活発な彗星と似ている。
数多くの恒星間天体のうち、いくつかは太陽系内を通過すると考えられるが、一般にこうした天体は暗過ぎるために認識することができない。2017年に初めて確認された恒星間天体オウムアムア(‘Oumuamua)は、これまでに発見された唯一の恒星間天体であり、彗星活動を示さないことと、その細長い形状で研究者を驚かせた。2年後の2019年8月30日、アマチュア天文家のGennady Borisovは急速に接近する彗星C/2019 Q4を発見し、その彗星が大きく開いた軌道を持つことが9月24日に国際天文学連合によって公式に確かめられ、その名前は2I/ボリソフと改められた。
今回、Piotr Guzikたちは、データマイニングコードにより、その開いた軌道に注目し、ハワイのマウナケア山にあるジェミニ北望遠鏡およびスペインのラ・パルマ島にあるウィリアム・ハーシェル望遠鏡(WHT)を用いて、9月10日に2I/ボリソフを観測した。9月13日には、WHTで再びこの彗星が観測された。著者たちは、2I/ボリソフのコマが広がっていることと尾が短いことを突き止め、核の半径をおよそ1キロメートルと見積もった。コマの色は不均一でわずかに赤みがかっているが、太陽系の彗星と一致することが観測された。
2I/ボリソフは、太陽に向かって接近する途中で発見され(予想される最接近日は12月8日)、オウムアムアよりも明るいことから、天文学者は、今後約1年で彗星が暗くなって観測できなくなる前に、より広範で、完全、かつ精確なデータセットを得ることができるだろう。
doi:10.1038/s41550-019-0931-8
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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