食料:サプライチェーンの多様化によって食料の供給途絶から都市を守る
Nature
2021年7月8日
都市の食料サプライチェーンの多様性を高めれば、食料の供給途絶(食料供給ショック)に対する都市の復元力が強化されることを報告する論文が、Nature に掲載される。この関係は、米国の284都市の4年間のデータを用いて構築された統計モデルを使って実証されており、政策立案者の指針となり得る。
極端な気象、政治的要因、疾患の世界的流行などを原因とする食料供給ショックは、世界でさらに一般的に見られるようになってきている。生態学的理論によれば、このようなショックのリスクを管理するためには、食料サプライチェーンを可能な限り多様化させるべきとされる。しかしこれまで、都市、企業、国が積極的に制御できる要因に関するショックのリスクを可視化するために使用できる単純な定量モデルがなかった。
今回、Alfonso Mejiaたちの研究チームは、米国の大部分が中程度から重度の干ばつに見舞われた期間(2012~2015年)の国内284都市における4つの食料分野(作物、生きた動物、動物用飼料、肉)での年間食料供給量の観測値を調べた。Mejiaたちは、これらのデータを用いて、統計的-実証的モデルを作成した。このモデルは、特定の頻度、強度、期間の食料供給ショックに対して都市が抵抗する能力が、そのサプライチェーンの多様性とどのように相関するかを説明する。驚くべきことに、都市の食料サプライチェーンの多様性を高めることで、軽度から中程度のショックに対する復元力を最大15%まで高められることが分かった。
Mejiaたちは、さまざまな危険(ハザード)に一般化できる単純で運用上有用なモデルを作成しておけば、各都市で、食料サプライチェーンの多様性を高めることを目的とした政策の指針として、このモデルを使用できると期待している。これは、将来的な食料の供給途絶を緩和するために役立つ可能性がある。
doi:10.1038/s41586-021-03621-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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