考古学:ベネチア潟で見つかったローマ時代の道路の証拠
Scientific Reports
2021年7月23日
ベネチア潟に沈んだローマ時代の道路を発見したことを報告する論文が、今週、Scientific Reports に掲載される。この知見は、ベネチアの建設が始まった紀元5世紀より数世紀前から、ベネチア潟には大規模な集落が存在していたと考えられることを示唆している。
ベネチア潟は、現在はその大部分が水没しているが、ローマ時代には陸路で出入りができた。潟内の複数の島や水路からは、ローマ時代の遺物が発見されているが、ベネチア潟に人々がどの程度居住していたかは分かっていない。
今回、Fantina Madricardoたちは、ベネチア潟内のトレポルティ運河という地域で、ソナー(水中音波探知機)を用いて潟底のマッピングを行い、北東方向に1140メートルにわたって並んだ12点の考古学的構造物を発見した。この構造物の高さは最大2.7メートルで、長さは最大52.7メートルだった。以前のトレポルティ運河の調査では、ローマ人が道路建設に使用した敷石に似た石が発見されており、これらの構造物がローマ時代の道路沿いに並んでいた可能性があることを示している。さらに、Madricardoたちは、トレポルティ運河で、高さが最大4メートル、長さが最大134.8メートルの構造物4点を発見した。そのうち最も大きな構造物は、その寸法と他の地域で発見された建造物との類似性に基づいて、ドックのような港湾構造物だと考えられている。以前に収集された地質データとモデル化データから、この道路は、ローマ時代には海面上にあった砂質の隆起部分にあったことが示唆された。現在、この部分は水没している。
今回の知見は、ローマ時代にトレポルティ運河に人々の定住地があった可能性を示唆している。Madricardoたちは、この道路が、ローマ時代のイタリアのベネト地域の広範な道路ネットワークにつながっており、旅行者や船乗りが現在のキオッジャ市とベネチア潟北部の間を移動するために使用していたという考えを示している。
doi:10.1038/s41598-021-92939-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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