Research Press Release
アレルギー傾向をもつヒト細胞
Nature Immunology
2011年9月12日
ヒトの腸と肺の組織に、喘息の重症度やアレルギー応答にかかわる新しい種類の免疫細胞が存在することが判明した。
これまでにマウスでは、自然免疫系のヘルパー細胞(ナチュラルヘルパー細胞)が見つかっており、粘液の生産を促す物質を分泌し、好酸球と呼ばれる血液細胞を誘引する。このような免疫応答は、寄生虫の除去につながるが、アレルギー症状を引き起こす引き金にもなる。H Spitsたちは、ヒトにもこのような細胞があるかを調べ、CRTH2、CD127、CD161という細胞マーカーを発現する自然免疫細胞の一群を同定した。これらのマーカーが、この細胞群を肺や腸の他の細胞と区別する目安になる。前述のマウス細胞と同様に、活性化した自然免疫系CRTH2+細胞はアレルギー型の免疫反応を引き起こす。鼻に感染を起こした慢性副鼻腔炎の患者では、CRTH2+細胞が増加している。
ヒトCRTH2+細胞というこの新しいサブセットがどのようにして生じるかはまだ不明であり、この細胞をどのように制御すれば慢性のアレルギー反応が軽減できるかを解明するには、さらに研究が必要である。
doi:10.1038/ni.2104
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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