亜鉛フィンガーヌクレアーゼの「オフターゲット」
Nature Methods
2011年8月8日
亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)と呼ばれるゲノム編集技術のオフターゲット効果が、Nature BiotechnologyおよびNature Methodsで発表される。2つの研究は、このツールの精度に関する洞察をもたらす。
ZFNという酵素は、ゲノム上の特定部位を加工する能力を持つため、基礎研究と遺伝子治療の両面でツールとして有望視されている。しかし、そのようなツールでは精度が命である。ゲノム上で標的として狙っていない位置をZFNが変化させてしまうオフターゲット効果は、多くの用途で問題を引き起こす可能性があるが、ゲノム全体で実験的に研究されてはこなかった。
そうした実験的検証を行う方法が2件の独立した研究で発表され、その知見が明らかにされている。Nature Methodsでは、D Liuたちが、最先端の塩基配列解読法に基づくin vitroの分析法を用いて、2対のZFNの切断特異性を検討した。研究チームは、ヒトゲノムに存在するオフターゲット配列の切断を観察し、ZFN対が細胞内で発現するとその部位が切断されることを示す証拠を確認した。
Nature Biotechnologyでは、L Naldini、C von Kalleたちが、切断が生じたゲノムに組み込まれるウイルスを利用することにより、4対のZFNの切断部位を明らかにした。切断の多くは予想された位置に生じていたが、研究チームは、コンピューターによる方法で予測されなかった別の位置にオフターゲット事象が見られたことを示している。
両研究が注目したZFNは臨床試験中のものであるが、いずれの研究も臨床的に意味のある細胞で行われたわけではない。そうした分析の結果は、細胞の種類やZFNの発現量の差によって変化すると考えられる。両論文は、臨床的に意味のある細胞を用いてZFNのオフターゲット効果の研究を行うべきであることを、強く示している。
doi:10.1038/nmeth.1670
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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