Research Press Release
米国西海岸の森林の炭素シンクに関する予測
Nature Climate Change
2011年10月24日
米国西海岸の森林地帯では、森林火災の予防対策と大規模なバイオエネルギー収穫が行われると、今後20年間に二酸化炭素排出量が現在の管理施策による場合よりも2〜14%増加する可能性があることが明らかになった。この新知見は、米国での炭素排出緩和策において森林のバイオエネルギーが果たす役割に重要な影響を与えるかもしれない。
今回、T Hudiburgたちは、バイオエネルギー収穫と間伐で「森林火災のリスク低減」と「炭素排出量削減」の2つの目標を達成できるのかどうかを調べるため、米国西海岸の森林地帯の80タイプの森林の資源調査データを分析した。そして、大部分の生態地域では、現在の炭素シンクが十分に強力なため、森林のバイオエネルギーによる化石燃料の代替によって炭素シンクの機能が失われることはないことが判明した。
ただし、これらの地域における炭素シンクが、昆虫感染、火災による炭素排出量の増加や一次生産の減少によって弱化して、現在のレベルを下回る場合には、この状況が変化する可能性がある、とHudiburgたちは考えている。この新知見は、効果的な炭素排出緩和策を定める際に、現在の森林の炭素収支と局所的な森林状態、そして生態系の持続可能性を考慮に入れる必要がある点を浮き彫りにしている。
doi:10.1038/nclimate1264
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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