Research Press Release
敵が実は味方だったとき
Nature Medicine
2011年10月31日
新しい内分泌ホルモン系が同定され、炎症誘発性サイトカインが代謝の恒常性を保つ積極的役割を担っていることがわかった。この結果は、臓器どうしが連絡し合って急激なエネルギー需要を満たしている仕組みを示しており、2型糖尿病の治療に結びつく新たな道筋が示唆される。
インターロイキン-6(IL-6)は炎症誘発性サイトカインで、代謝の健全性には有害だと考えられている。特に肥満のときに増加することが知られているからだが、これには議論がある。
H Ellingsgaardたちは、運動に応じて筋肉から放出されるIL-6が、腸の細胞や膵臓のα細胞におけるタンパク質ホルモンGLP-1の発現を亢進させることを発見した。GLP-1は膵臓からのインスリン分泌を改善することが知られており、インスリンは細胞のグルコース取り込みを促進することから、GLP-1の増加は、身体活動後の燃料の必要性を満たす方法の1つになる可能性がある。またEllingsgaardたちは、2型糖尿病マウスモデルに組み換えIL-6を注射するとGLP-1レベルが上昇し、血糖値のコントロールも改善することを明らかにした。
doi:10.1038/nm.2513
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
気候変動:プライベート航空による二酸化炭素排出量の大幅な増加Communications Earth & Environment
-
惑星科学:火星の岩石堆積物は太古の海の名残かもしれないScientific Reports
-
地球科学:インドプレートとユーラシアプレートの収束の加速を説明するNature
-
メンタルヘルス:うつ病は7か国における婚姻状況と関連しているかもしれないNature Human Behaviour
-
進化:これまで知られている最古のオタマジャクシNature
-
がん:腫瘍アトラスががんの進化を明らかにするNature