天文学:金星の昼側で原子状酸素が直接検出された
Nature Communications
2023年11月8日
金星の昼側と夜側の両方で原子状酸素が直接検出されたことを報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。この検出方法を用いることで、金星大気の2つの循環パターンの間に存在する領域の詳細な調査が可能になり、将来の金星探査ミッションの支援に役立つことが期待される。また、著者らは、原子状酸素を直接測定すれば、金星の大気が地球の大気と大きく異なる理由についての理解が深まる可能性があるという見解を示している。
金星は非常にゆっくりと自転することが知られており、金星の1日は地球の243日に相当する。金星では、昼側で二酸化炭素(CO2)と一酸化炭素(CO)の分解によって原子状酸素が生成され、夜側に輸送される。原子状酸素は、金星の大気中の光化学的過程やエネルギー収支にとって重要だが、金星の昼側では直接観測されたことがない。また、夜側での原子状酸素の検出は、金星の夜光(金星の大気による非常に弱い発光)の観測に限られていた。
今回、Heinz-Wilhelm Hübersらは、飛行天文台SOFIA(遠赤外線天文学成層圏天文台)に搭載されたアレイ分光計upGREATを使って、金星の昼側と夜側の合計17地点を分析した。その結果、全ての観測地点で原子状酸素が検出され、原子状酸素は高度100キロメートル付近に集中して存在していることが明らかになった。以上の測定結果は、基底状態にある原子状酸素の微細構造線が4.74テラヘルツで観測されたことに基づいている。また、原子状酸素の柱密度には変動があることも判明し、密度の最大値は昼側で記録された。
doi:10.1038/s41467-023-42389-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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