1万1000年前に始まったオーストラリアの山火事に対する人類の影響
Nature Geoscience
2024年3月12日
オーストラリアのサバンナにおける火事の様相への人類の大きな影響は、ほぼ1万1000年前に始まったことが、湖堆積物中の木炭層の分析から明らかになった。このことを報告する論文がNature Geoscienceに掲載される。今回の知見は、気候変動の結果として山火事の頻度が増大するのをどのように管理するかについて、我々の理解を深めるのに役に立つ可能性がある。
火は長い間、オーストラリアの先住民コミュニティーで、景観を彼らの社会に有益な形に管理するため(例えば山火事を防ぐなど)に用いられており、意図的な火事は、植物や動物の個体数と生物多様性の両方に影響を及ぼしてきた。一方で、自然の火事(例えば落雷によって着火した火など)もまた広範に広がっており、地域の気候条件が景観の燃えやすさの傾向を決定している。オーストラリアにおいて、人類が存在した何万年も前にさかのぼる詳細な火事の記録がないために、自然の火事の体制に対する人類の影響がいつ始まったかを決定することが困難となっていた。
今回、Michael Birdらは、オーストラリアのノーザンテリトリー州にあるギラウィーン・ラグーンで得られた堆積物中の木炭と火災由来の化合物を分析し、過去15万年にわたるサバンナ生態系における火事の頻度と強度を再現した。その結果、およそ1万1000年前に、頻度が少なくより強度の強い火事から、頻度が多いが強度の小さい火事への、明瞭な変化が始まったことが分かった。Birdらは、これは、人類が火事を景観レベルで改変し始めたことを反映している可能性があると指摘している。
Birdらは、今回の知見は、人類がより強度の強い火事が起こる可能性を管理できた可能性を示していると結論付けている。Birdらはまた、先住民の管理技術を再実行することで将来の火事のリスクを軽減できるかもしれないと示唆している。
doi:10.1038/s41561-024-01388-3
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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