天体物理学:マグネターの巨大フレアという珍しい現象が観測された
Nature
2024年4月25日
近傍銀河の1つであるM82の内部に存在するマグネター(強く磁化した中性子星)から発生した巨大フレアが観測されたことを報告する論文が、今週、Natureに掲載される。この知見は、ガンマ線バースト(GRB)とされるものの分析に基づいており、マグネターの巨大フレアというまれな爆発現象の発生頻度を洞察する手掛かりになると考えられる。
巨大フレアは、短時間の爆発現象で、非常に大量のエネルギーがGRBとして放出される。天の川銀河と近傍の大マゼラン雲の内部に存在するマグネターで発生した巨大フレアは、約50年間に3度しか観測されていない。これよりも遠方のマグネターで発生する巨大フレアについては、はるかかなたにある高エネルギーバーストの発生源を特定することが困難であるため、観測することが難しくなっている。
今回、Sandro Mereghettiらは、約1200万光年離れたM82というスターバースト銀河(大量の星が短期間に生成されている銀河)の中心で起こったバースト(GRB 231115Aと命名された)が、インテグラル(INTEGRAL)衛星に搭載された高感度の観測機器によって観測されたことを報告している。Mereghettiらは、GRB 231115Aのスペクトル特性とタイミング特性、この現象の数時間後のX線観測と光学観測の結果、そして重力波シグナルが検出されていないことから、このバーストはマグネターから発生した巨大フレアの結果だったという見解を示している。Mereghettiらは、マグネターを生成することが知られているM82のようなスターバースト銀河が、巨大フレアの研究における有望な標的になるかもしれないと結論付けている。
doi:10.1038/s41586-024-07285-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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