Research Press Release
新しいC型肝炎ウイルス受容体
Nature Medicine
2012年1月10日
C型肝炎ウイルス(HCV)が利用する受容体を新たに同定したとの報告が寄せられている。この受容体、ニーマン・ピックC1様1(NPC1L1)コレステロール吸収受容体が、C型肝炎ウイルスの治療標的になる可能性がある。 HCVは肝臓病の主要な原因の1つで、世界の感染者はおよそ1億7000万人に上る。現在行われている治療法は効果が低く、副作用が強いため、もっと効果の高い抗ウイルス治療の開発が求められている。S Uprichardたちは、ウイルスの細胞への侵入経路は抗ウイルス治療の標的になる可能性があると考え、NPC1L1コレステロール取り込み受容体が、治療介入を行いやすいHCV侵入因子であることを発見した。NPC1L1の発現を抑制したり、NPC1L1を遮断したりすると、ヒト細胞のHCV感染が起こらなくなることがわかった。さらに、臨床的に利用可能なNPC1L1拮抗薬エゼチミブが、ヒト肝臓を移植したマウスで、HCVの侵入を強力に阻害してHCV感染を妨げることがわかった。 ヒトでの利用が認められているNPC1L1拮抗薬がすでにあるため、今回の知見は早めに臨床応用が行えるかもしれない。
doi:10.1038/nm.2581
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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