量子コンピューティング:新しいチップで量子エラー訂正が改善
Nature
2024年12月10日
Google Quantum AIの最新世代量子チップで、将来的な実用的な量子コンピューティングアプリケーションの実現に必要な臨界閾値以下のエラーを抑制する量子誤り(エラー)訂正が実証されたことを報告する論文が、今週のNature に掲載される。このデバイス性能は、スケールアップすれば、大規模な耐故障量子コンピューティングの運用要件を促進できるかもしれない。
量子コンピューティングは、特定のタスクにおいて、計算を高速化し、従来のコンピューターの能力を超える可能性を秘めている。しかし、量子コンピューターはエラーが発生しやすく、現在のプロトタイプでは実用的な結果を得るのに十分な長時間稼働させることができない。この問題に対処するために、量子コンピューティングの研究者たちが考案した戦略は、量子エラー修正に依存している。量子エラー訂正では、情報を多数のキュービット(量子情報の単位で、従来のコンピューターのビットに類似)に分散させることで、計算を損なうことなくエラーを特定し、訂正することができる。量子エラー訂正に必要な量子ビットのオーバーヘッドは、訂正するよりも多くのエラーを発生させる可能性がある。その結果、「閾値以下」の操作を実現することは困難であることが分かっている。ここでいう「閾値以下」とは、エラー訂正が意図した通りに機能し、エラーを指数関数的に抑制するために必要な閾値以下のエラー率を意味する。
Hartmut Nevenらは、Willowと呼ばれる超伝導量子処理チップの最新アーキテクチャーを発表した。これは、表面コードとして知られる特定の量子エラー訂正アプローチにおける臨界閾値以下の量子エラー訂正を可能にする。著者らのシステムは、エラーをリアルタイムでデコードしながら性能を維持し、数時間で最大100万サイクルを実行する。著者らは、72量子ビットプロセッサと105量子ビットプロセッサで表面コードを実行した。コード距離が3から5、7と増えるたびに、論理エラー率は半分になった。この論理エラーの指数関数的な抑制が、エラー訂正機能を備えた大規模な量子アルゴリズムを実行するための基盤となる、と著者らは結論づけている。
- Article
- Published: 09 December 2024
Google Quantum AI and Collaborators. Quantum error correction below the surface code threshold. Nature (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08449-y
doi:10.1038/s41586-024-08449-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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