Research Press Release

天文学:月の年齢はより古い

Nature

2024年12月19日

月の形成が45億1,000万年前頃と古い年代であったことを裏付ける証拠を報告する論文が、Nature に掲載される。この新しい分析結果は、43億5,000万年前頃に月の表面が「再溶融」したことにより、それよりもはるかに古い歴史が覆い隠されてしまった可能性を示唆している。

月は、初期の地球と火星ほどの大きさを持つ原始惑星が衝突したことによって形成されたと考えられており、これは地球の歴史上最後の巨大衝突(giant impact)である。この出来事の時期は、衝突後に存在した月のマグマオーシャンから結晶化したと推定される月の岩石サンプルの年代測定によって推定されており、月の年齢は約43億5,000万年前とされている。しかし、この年齢では、熱モデルや月面のクレーターの数、一部のジルコン鉱物の年齢など、いくつかの証拠と矛盾している。これらの証拠は、月が最大で45億1,000万年前に形成された可能性を示している。

Francis Nimmoらは、約43億5,000万年前の岩石が頻繁に発見されることは、月のマグマオーシャンの最初の凝固というよりも、月の軌道の進化によって引き起こされた再溶融の証拠である可能性があると主張している。著者らは、月は約43億5,000万年前にこの再溶解を引き起こすのに十分な潮汐加熱を経験した可能性があることを示すモデルを使用しており、これにより、これらの月のサンプルの見かけの形成年代が「リセット」される可能性がある。さらに、月の再溶解は、初期の衝突による衝突盆地が予想よりも少ない理由を説明できる。なぜなら、それらは加熱イベント中に消滅したはずだからだ。著者らは、この説明から、月の形成はこれまでの推定年齢の上限である45億3,000万年から44億3,000万年前の間に行われたと推定している。これらの洞察は、月の形成に関する理解を地球型惑星の形成に関する既存の知識と一致させるのに役立つ。

Nimmo, F., Kleine, T. & Morbidelli, A. Tidally driven remelting around 4.35 billion years ago indicates the Moon is old. Nature 636, 598–602 (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08231-0
 

doi:10.1038/s41586-024-08231-0

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