気候変動:南極の海氷減少が嵐の発生を促す
Nature
2024年12月19日
南極の海氷面積が過去最低を記録したことにより、新たに氷のない海の上空で嵐が頻発するようになったことを報告する論文が、今週のNature に掲載される。2023年には、南極周辺の海域の海氷の濃度が最大80%減少した地域もあり、海から大気への熱伝達が増加し、荒天の増加につながった。この調査結果は、海氷の減少が気候システム全体に及ぼす影響を明らかにしている。
南極の海氷の減少は、海洋の温暖化、南氷洋の炭素吸収源の弱体化、ペンギンのコロニーの個体数減少につながる可能性がある。研究者らは、2016年から海氷の大幅な減少を観測しているが、2023年には2月から海氷の濃度が過去最低を記録し、6月までに233万平方キロメートルの氷が再生されなかった。これは、6月の過去最低値の2倍にあたる。
Simon Joseyらは、衛星データと海洋表面付近の大気データを分析し、2023年の冬に海氷被覆率が異常に低下した3つの地域を発見した。最も減少が激しかった地域では、1991年から2020年の6月と7月の平均値と比較して80%の減少となった。この氷の減少は、海洋から大気中に放出される熱量の増加を伴い、一部の地域では2015年以前の値と比較して熱損失量が2倍に増加している。この熱損失の増加は、嵐の頻度増加と関連しており、著者らは氷の大幅な減少が見られる地域では、嵐の発生が最大で7日増加すると計算している。さらに、熱の移動の変化は、海洋の循環、特に南大洋の深層にある高密度で低温の深層水である南極底層水が熱や二酸化炭素を吸収し、貯蔵する方法に影響を及ぼす可能性がある。
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- Published: 18 December 2024
Josey, S.A., Meijers, A.J.S., Blaker, A.T. et al. Record-low Antarctic sea ice in 2023 increased ocean heat loss and storms. Nature 636, 635–639 (2024). https://doi.org/10.1038/s41586-024-08368-y
doi:10.1038/s41586-024-08368-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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