Research Press Release
脂肪肝に新たな原因
Nature Communications
2012年2月15日
代謝調節、脂肪蓄積や肝がんに関与するタンパク質が新たに同定された。この知見は、2型糖尿病の治療に特定のインスリン抵抗性改善剤を使用することに対して重要な意味をもつ可能性がある。研究成果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。 PTENは、解糖(グルコースやその他の糖類を分解してエネルギーを生産する過程)を調節するシグナル伝達経路における重要なタンパク質の一つだ。PTENの変異は、マウスにおいて、肝腫大、脂肪蓄積、そして最終的には肝がんを引き起こすことが知られている。今回、M Pendeたちは、PTENに変異のあるマウスに、異常に活性化したPPARγタンパク質が見られ、これが、解糖における2つの非常に重要な酵素の発現を増加させ、肝がんにおいて役割を果たすことを明らかにした。また、Pendeたちは、PPARγの活性化によって、肝細胞の大量増殖と脂肪蓄積が起こることも明らかにした。 がんにおいてPTEN遺伝子が最も頻繁に変異する遺伝子の1つであることから考えると、今回の新知見は、1つの糖尿病治療戦略としてPPARγを活性化させる薬剤を使用することに対して重要な意味をもっている。
doi:10.1038/ncomms1667
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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