Research Press Release
ワインを環境変化に適応させる
Nature Climate Change
2012年2月27日
オーストラリアではワイン用ブドウの早期成熟傾向が見られるが、その主な原因として、気候に関連する2つの変数(温暖化と土壌水分量の減少)が報告された。これに加えて、収穫量の減少と管理方法の変化も寄与していることが明らかになった。今回得られた知見は、適応戦略の標的を効果的に絞り込むうえで役立つ可能性がある。この研究成果を報告する論文は、今週、Nature Climate Change(電子版)に掲載される。 近年、オーストラリアで見られるワイン用ブドウの早期成熟は、ワインの質に好ましくない影響を及ぼすことが多い。こうした気候変動に伴う生態系のライフサイクル事象の傾向は広く報告されているが、この傾向を何らかの駆動機構に結びつけた研究報告は数が少ない。今回、L Webbたちは、最長64年間にわたるオーストラリア南部全体でのワイン用ブドウの成熟と環境変数の長期記録の統計モデルによる要因分析を行った。 早期成熟を引き起こすことがわかった要因の一部、例えば、土壌水分量と収穫量は、選択的管理によって操作できることから、Webbたちは、今回の研究により、環境条件の変化にかかわらずワインの質を維持する方法に関する有用な手がかりが得られたと考えている。
doi:10.1038/nclimate1417
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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