Research Press Release
【生態】道具の使い方が似ているイルカどうしが群れる
Nature Communications
2012年8月1日
海綿を狩猟の道具に使っているシャークベイ(オーストラリア)のハンドウイルカが、自分たちと同じように海綿を用いるイルカを好むとする見解を示した論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。このことは、海綿を利用するイルカが、社会的に学習した技能によって、イルカ集団において独自のグループを形成していることを暗示しており、このイルカ種における文化的行動の存在を示唆している。
動物の道具使用は知能に関連しているが、ヒトだけが文化的行動を示す動物なのかどうかは明らかでない。今回、J Mannたちは、社会的ネットワーク分析を用いて、22年間にわたってシャークベイに生息する海綿を用いるイルカと用いないイルカにおける社会的選好を調べた。その結果、海綿を用いるイルカは、群れをなす傾向が強く、海綿を用いないイルカよりも海綿を用いるイルカの仲間の数が多く、お互いの絆も強かった。この研究で得られた知見は、海綿を道具として利用することが、文化的行動の一種であり、ハンドウイルカが、ヒトの場合と同様に、同じサブカルチャーを有する他者と仲間になることを好む可能性があることを示唆している。
doi:10.1038/ncomms1983
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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