Research Press Release
知覚の不変性
Nature Neuroscience
2012年3月12日
明るい画像に対する視覚野の活性化は、画像の原寸ではなく、認知した「残像」の大きさに基づくようだ。今週のNature Neuroscience誌電子版に発表されたこの研究成果は、物体が遠くにあるほど網膜上の投影像は小さくなるにもかかわらず、現実と同じ大きさで認知される理由を説明するのに役立つかもしれない。 明るい画像を短時間じっと見つめると、そのあとでさまざまな大きさの「残像」が見える。対応する視覚野の活性化の程度は、この知覚した残像の大きさによって決まり、網膜に実際に投影された大きさにはよらない。 薄暗い白熱電球を視線を動かさず10秒ほど見つめた後に白っぽい壁や天井に目をやると、たいてい光の残像が見える。残像の大きさは壁や天井との距離によって決まり、たとえば壁と離れているほど残像は大きくなる。このことは電球自体の大きさや、またその網膜上に投影された像の大きさに違いがなくても起こる。 Mel Goodaleらは、スクリーンを置く位置をいろいろ変えて、さまざまな大きさの残像を見ているときの脳の活動を機能的磁気共鳴画像法で観測した。残像に対して活性化する一次視覚野(V1)の大きさは、網膜上の投影像の大きさが一定にもかかわらず、知覚された残像が大きいほど大きくなることが明らかになった。
doi:10.1038/nn.3069
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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