亜鉛フィンガーヌクレアーゼが細胞膜を越える
Nature Methods
2012年7月2日
ゲノムの選択的な改変に利用される亜鉛フィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、タンパク質の形で細胞膜を越えることができる。今週の『Nature Methods』で発表される知見は、この生物学的ツールを細胞に簡便かつ安全に送達することを可能にすると考えられる。
ZFNのような特製のヌクレアーゼは、多くの種のゲノムに狙った変化を導入するのに利用可能であり、研究と遺伝子治療の両用のツールとして大いに注目されている。通常、このヌクレアーゼはDNAまたはRNAの形で細胞内に送達され、細胞内に入ってから機能性のタンパク質が生成する。
Carlos Barbasたちは、ZFNタンパク質自体が細胞膜を越える能力を持つことを明らかにした。複数種類の哺乳類細胞で観察したところ、細胞膜を越えるZFNタンパク質のレベルは、ZFNがDNAの形で送達された場合と同等の効率でゲノムに狙った変化を生ずるほどのものであったという。細胞膜への浸透は一部のタンパク質およびペプチドに関して報告されている特性であるが、それがZFNの特徴であることは知られていなかった。
タンパク質の形で送達されたヌクレアーゼが標的細胞内に存在するのは一時的であり、それが引き起こす非特異的なゲノム変化は、DNAの形で送達されたヌクレアーゼと比較して明らかに少ない。このツールをタンパク質の形で送達することにより、ウイルスベクターによる送達に伴う挿入変異生成のリスクとともに、外因性RNAに対する細胞反応に伴う毒性が回避される。
doi:10/1038/nmeth.2030
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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