Research Press Release
他人の失敗に学ぶ
Nature Neuroscience
2012年8月6日
今週のNature Neuroscienceオンライン版に発表された論文によると、サルの前頭葉内側皮質には、他のサルが意思決定を誤った場合にシグナルを伝達する神経細胞が ある。サルとヒトは他者の失敗から学習できることが知られており、今回の成果は脳内で必要な情報を解読している可能性のある領域解明に光明を投ずるものである。
Masaki Isodaらは、次の2つの選択肢のどちらかを2匹のサルに順番に選ばせた。一方を選ぶと2匹ともに報酬が与えられ、もう一方を選ぶとどちらか1匹には報酬が与えられない。サルは、互いに相手の行動の結果を利用してよりよい行動を選択ができた。前頭葉内側皮質には、相手のサルが失敗したときに発火が増加する神経細胞群が存在していた。そのおよそ半数の活性は報酬がもらえないことと一般的に相関していたが、もう半数は相手の間違った行動に特異的に応答していた。
ヒトについての以前の研究から、前頭葉内側皮質は他者から学習するときに失敗を監視するのに重要であることが示唆されているとはいえ、この結果は他者の失敗を専門に表現する神経細胞の存在を示す初めての証拠である。
doi:10.1038/nn.3180
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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