Research Press Release
【動物行動】捕食者の幼若体に仕返しをするダニの成体
Scientific Reports
2012年10月11日
被食者が成体になってから捕食者種の幼若体を捕食する率は、幼若期にこの捕食者種の成体と遭遇している場合の方が高いことが、捕食性ダニ種3種の研究によって示唆されている。この研究論文が、今週、Scientific Reportsに掲載される。
動物は、通常、捕食者と被食者に分類されるが、この役割が逆転する事例が数多く存在している。成体になった被食者が、攻撃を受けやすい幼若な捕食者を攻撃するのだ。このことは、被食者の一部が幼若期の捕食を免れて成体となって、幼若期の捕食者の命を奪う場合があることを示唆している。
今回、Y Choh、A Janssenたちは、ダニ種3種について研究し、被食者の幼若体を捕食者の成体と遭遇させると、成長後の被食者の行動に変化が生じることを明らかにした。捕食者と遭遇していた被食者が成長したとき、遭遇していない場合よりも捕食者の幼若体を殺す率が加速する傾向が判明したのだ。この攻撃は、幼若期に遭遇していた捕食者種を特異的に標的としており、被食者が捕食者種を認識することを示唆している。この研究結果は、被食者が、生態学的役割の逆転後、幼若期の経験に基づいて対捕食者行動を調節する可能性を示唆している。
doi:10.1038/srep00728
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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