Research Press Release
記憶に重要な役をする新生ニューロン
Nature Neuroscience
2012年11月12日
成人の海馬に新たに生じたニューロンは、記憶の回復にきわめて重要であるとの研究が、今週号のNature Neuroscience(オンライン版)に報告されている。この研究では、成体マウスで新しく「誕生」したニューロンを生成後4週間にわたって「沈黙」させたところ、 記憶の回復が損なわれることがわかった。
Shaoyu Geほかの研究者は、成体海馬で新たに生じたニューロンを特定し、続いて異なる時期にそれらニューロンを特異的に沈黙させた。その結果、海馬に依存すると される作業における記憶の回復が、生後4週間のニューロンが沈黙すると損なわれたが、ニューロンの時期がそれより前でも後でもそうはならない ことがわかったという。生後4週間のニューロンは既存のニューロンよりも変化を受け入れやすいとされており、今回の発見は、可塑性の増強がこ れらニューロンに、記憶の回復にかかわる重要な働きをさせている可能性を示唆している。
成体動物の海馬には新生ニューロンが存在することはよく知られているものの、これら新生ニューロンの機能についてはいくらか異論も残されてい る。今回の発見は、成体海馬での新規ニューロンの生成が通常の学習や記憶といった過程を支える重要なものだという考えに根拠を追加している。
doi:10.1038/nn.3260
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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