Research Press Release
除草剤を捕食する細菌
Nature Chemical Biology
2010年5月10日
除草剤アトラジンに結合するRNA分子を利用することにより、アトラジンを探して分解する大腸菌が作製されたという報告が、Nature Chemical Biology(電子版)に寄せられている。この知見は、合成生物学を利用して環境中の有害物質を除去する新たな、そしてもしかすると一般化可能な方法をもたらすとともに、細菌を再プログラム化して複数の複雑な仕事をさせる方法を示している。
アトラジンは除草剤として広く使用されており、特に淡水の供給に関して環境および衛生上の問題となっている。環境中で栄養素を探し出す大腸菌本来の能力を利用して、J Gallivanたちは、大腸菌の一般的な株を再プログラム化してアトラジンに向かわせ、それを分解させた。in vitroおよびin vivoのRNA選択法を組み合わせることにより、研究チームは、ある人工リボスイッチ(小分子に反応するRNA)に行き当たった。それは、アトラジンに反応してタンパク質の翻訳を活性化させるとともに、アトラジンが存在すると大腸菌を移動させるものであった。アトラジン分解経路の別の遺伝子も組み込むことにより、この大腸菌はアトラジンを分解することもできるようになった。
doi:10.1038/nchembio.369
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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