Research Press Release
【医学研究】若い血を好むマラリア原虫
Nature Communications
2013年3月28日
マカクザルに寄生するマラリア原虫(Plasmodium knowlesi)に対するヒトの曝露が増えると、老化した血液細胞へのマラリア原虫の侵入能力が高まるという研究結果が得られた。現在のところ、マラリア原虫は若い血液細胞へ侵入する傾向があることから、今回の研究結果は、ヒトにおけるP. knowlesiの毒性と感染力が今後増加する可能性を示唆している。
今回、Caeul Limたちは、P. knowlesiがヒトの血液中で活発に増殖しないのは、若齢の細胞亜集団に侵入する傾向を持つからだとする研究結果を報告している。Limたちは、ヒトの血液をP. knowlesiに継続的に曝露させると、P. knowlesiが進化して、それまでより広範な種類の血液細胞に感染する能力が高まることを明らかにした。これが、P. knowlesiのヒト感染症例の一部で既に起こっている、高いマラリア原虫負荷量と疾患の重篤化の原因なのかもしれない。
Limたちは、こうした適応に至るまでの機構を解明すれば、ヒト集団におけるP. knowlesi感染のこれ以上の増加を防ぐために役立つ可能性があり、そのためには、さらなる研究が必要だとする見解を示している。
doi:10.1038/ncomms2612
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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