Research Press Release
【惑星科学】水星の磁気圏のモデル研究
Nature Communications
2013年4月4日
NASAの水星探査ミッション「メッセンジャー」による最近の観測結果を再現する水星磁場環境の全球的シミュレーションが行われた。このシミュレーションは、磁気圏で観測された渦の非対称性を模倣し、この非対称性について1つの説明を提示している。
「メッセンジャー」ミッションでは、水星の大気(磁気の層である磁気圏を含む)の挙動に関する新情報が大量に得られている。その1つが、水星の磁気圏の日没側に大規模な渦が存在することだ。Jan ParalとRobert Rankinは、この非対称性を説明するために、水星全体の磁気圏を網羅したシミュレーションを開発した。このシミュレーションは、「メッセンジャー」の観測結果を再現でき、ケルビン・ヘルムホルツ不安定性(プラズマのような流体中で起こる不安定性の一種)と磁気圏全体でのケルビン・ヘルムホルツ不安定性の発生を模倣している。このParalとRankinのモデルでは、この不安定性によって渦が生じ、磁気圏での全体的な非対称性が水星の夜明け側と日没側で異なるイオンの運動によって制御されていることが示されている。
今回得られた結果を地球の磁気圏の挙動と比べてみると、磁気環境の規模のちがいと結びついた重要な差異が明らかになっている。ParalとRankinは、このシミュレーションを他の惑星の磁気圏にも適用することもでき、こうした差異のさらなる評価に役立つと考えている。
doi:10.1038/ncomms2676
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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