Research Press Release
【化学】環境にやさしい金の回収
Nature Communications
2013年5月15日
金を含有する廃材から金を回収するための環境にやさしい方法が発見された。これは、臭化金塩とα‐シクロデキストリンの間の完全な「ホスト‐ゲスト」相互作用によるプロセスで、α‐シクロデキストリンは、デンプンから生成できる単純で毒性のない炭水化物だ。
金の価格は、この10年で、4倍に高騰したため、鉱石や廃棄された家庭用電化製品から金を回収することへの動きが明白に見られる。現在の回収法は、毒性の強いシアン化物塩を用いて金を「浸出」させているため、それに伴って環境への害や経済的負担が生じている。今回、Fraser Stoddartたちは、α‐シクロデキストリンと金塩との「超分子」相互作用によって、たとえプラチナやパラジウムのような類似金属が混在した模擬廃材や実際の廃材であっても、金の選択的回収を効果的に行えることを明らかにした。
この新知見によって、環境汚染のリスクが低下し、もっと経済的で有効な金の回収法への道が開かれることが期待されている。
doi:10.1038/ncomms2891
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
考古学:遠い昔に存在していたナイル川のアフラマト支流沿いに建設されたエジプトのピラミッド群Communications Earth & Environment
-
工学:トカゲにヒントを得た建物系は全倒壊を免れるかもしれないNature
-
動物行動学:雄マウスの仔育てに影響を及ぼすかもしれない細胞Nature
-
進化学:バオバブの系譜をたどるNature
-
気候:2023年の夏は2000年に1度の暑さだったNature
-
健康:高齢者の暑熱曝露のリスクが大きくなるNature Communications