Research Press Release
【生態】森林を守るとサンゴ礁も守れる
Nature Communications
2013年6月5日
現在の森林伐採を逆転させるための保全プロジェクトが、沿岸のサンゴ礁生態系にも役立つ可能性が浮上した。今回の研究では、マダガスカルにおけるサンゴ礁への流送土砂量を減らすためには、局地的な土地利用管理の実施が、気候変動に変化をもたらすことよりも重要なことが示唆されている。この研究結果を報告する論文が、Nature Communicationsに掲載される。
河川上流域の森林面積は、流水によって沿岸域に運ばれる土砂量に影響することが知られている。沿岸に近いサンゴ礁系、例えば、マダガスカルのサンゴ礁系では、森林が別の用途に転換されているために、流入する土砂量が増えている。今回、Joseph Mainaたちは、さまざまな気候変動の将来予測と土地利用変化のシナリオを用いて、マダガスカルの主要なサンゴ礁生態系と関連する4つの河川流域における河川の流れと流送土砂量のシミュレーションを行った。その結果、気温上昇などの気候変動の悪影響よりも河川上流域での森林伐採の影響の方が大きいことが判明した。Mainaたちは、森林伐採の環境問題に取り組むために資源を投入することが、沿岸部のサンゴ礁生態系の保全にも役立つ可能性を示している。
doi:10.1038/ncomms2986
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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