Research Press Release
線虫ゲノムの選択的な遺伝性の変化が簡単に
Nature Methods
2013年7月1日
短いRNA断片を用い、変化させようとしている部位にヌクレアーゼを導くことにより、線虫(Caenorhabditis elegans)のゲノムに特異的な遺伝性の変化を導入したという論文が、今週オンライン版に掲載される。
C. elegansは、959個の細胞ひとつひとつの発生運命が明らかにされているとともに、透明で飼育が容易であるため、発生および神経生物学を研究するためのモデル系として広く用いられている。しかし、そのゲノムの精密な操作は、とくに生殖細胞では困難である。
John Calarcoたちは、CRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)というゲノム工学的方法により、線虫DNA中の特異的な切断をねらった。CRISPR法では短いガイドRNAを利用してヌクレアーゼCas9を標的に指し向けるが、この酵素がDNAに切断を導入し、標的部位の不完全な修復が変異につながるため、遺伝子の機能が失われる場合が多い。線虫では体細胞にも生殖細胞にもCRISPR/Cas法が有効であることを、研究チームは明らかにしている。
doi:10.1038/nmeth.2532
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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